お前に拒否権はないっ!
「あたし、クーリングオフしてきますからっっ!!
詐欺にあったって泣き寝入りなんて絶対にしないんだからー!!!」
声高々に宣言したあたしを香織が勢いよく止めた
「クーリングオフなんて絶対に駄目っっっ!!!
芽衣が新篠くんと付き合ったらスターダストのコンサート何回分の利益になると思ってるの!?」
スターダストは香織が今1番ハマっている男性アイドル
あたしは今まさにスターダストと天秤にかけられ、負けたのだ…―
「でもさ、あたしと新篠くんが付き合うだけでなんで利益が出るの!?」
香織の計算がどうなっているのかはわからないが、利益が生まれる仕組みが理解できない…
「まず、あたしが新篠くんの新しいファンクラブを立ち上げるの。
1人300円の会費制ね。
払いたくなる金額に設定することが絶対よ。
特典は、新篠くん最新情報そしてファンクラブ会員限定レアグッズ販売。
今の変な集まりより確実なモノを手に出来るほうに必ず人は集まるのよ。
それに会員にしかグッズを売らないって限定感を煽るところが肝心なのよ。」
さすが金の亡者
どこかの敏腕経営者みたい
「ちなみにさ…レアグッズって何売るの?」
恐る恐る香織に聞く
「使用済みストローとか、割り箸とか、プライベート写真とかデート写真とか、そのうちオークションでパン…」
「もういいよ!かなり変態だよっ!!」
さっきの一言撤回します
全国の敏腕経営者の皆様こんな変態と一緒にしてごめんなさい(´;ω;`)
「なに言ってんのよ。
恋する人間はみんな変態なの!」
自信満々な香織にちょっとだけ納得しそうになったところに、
「なんだよ、芽衣変態なのか?」
と俺様詐欺の犯人が割って入ってきた。