Woman





「うん。」



この瞬間、この一年間は
終わりのチャイムを告げた。


一筋の涙が頬を通ったが、
気づかれない内に拭き取り、

必死に涙を堪えて笑顔を作った。



「俺、避けてたから
ちゃんと話したことなくって、

でも、祭りん時に話して、
素直にいい子だなって思ったし、

話してて楽しかった。

歩いてるとひよこみたいで
守りたくなった。」


『うん…』


大好きな人の最後の気持ちを

きちんと受け止める。


それまでは泣かない。


「俺、たまに明奈の考えわかんなかった。

また、祭りの時の明奈の
どもった口調で余計分からなくなった。


俺、今までで一番好きだった。

だからこそ、理解したかった。
もっと笑わせてやりたかった。

けど、もう、俺には無理だよ。


明奈を理解したいって思っても
戸惑う明奈を見て嘘なんじゃないかって

疑うし、

明奈を笑わせたいって思っても
ちょっと苛々すると強い口調で

怖がらせるし、

俺らは合わないんだよきっと。」









< 47 / 101 >

この作品をシェア

pagetop