Wonderful DaysⅠ


───何だろ?


この人のバイクよりも、明らかに馬鹿デカイ音を奏でながら近付いてくる。

ボケッと音のする方向を見ていたら


「───チッ」


隣から舌打ちが聞こえた。

それにつられるように横を見れば、私を睨んでいた時よりもはるかに眉間に深い皺を寄せた彼が、暗闇の向こうを見据えていて。


なんだか、このバイクの音はヤバイんじゃないだろうか……

その間にも近付いて来ていたバイクは、目視できるほど近くまで迫ってきていた。

これは……以前、兄さんに聞いた事がある暴走族さんってやつだろうか?


「──おい、お前」


「え?」


突然、隣から話し掛けられて視線を移す。


「巻き込まれたくなかったら、どっかに隠れてろ」


───巻き込まれるって何に?


なんて悠長な事は言っていられなさそうな雰囲気に、思わずゴクリと喉を鳴らす。

きょろきょろと見渡して身を潜められそうな植え込みを見つけた私は、ガラガラと荷物を引きずってそこへ飛び込んだ。



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