Wonderful DaysⅠ
その口から出た恐ろしい提案にブンブンと勢いよく頭を横に振る。
「む、無理ですっ!」
私と修さんの会話を聞いていた兄さんが怪訝な表情をする。
「マリア?メガネってどういう事だい?」
「え?」
「視力はいい筈だろ?何でメガネなんて掛ける必要があるのか聞かせてくれる?」
イギリスにいた時はメガネを掛けた事が無かった私。
視力はいいから当たり前なんだけど。
何て説明しようかと、黙って俯いていれば
「──マリア?」
少し低くなったアル兄さんの声が耳に届いた。
「・・・いの」
それに促されるように、掠れた声でぼそぼそと話す私の声。
「え・・・?」
聞こえなかったのか聞き返してくる兄さんに
「メガネが無いと怖いのっ!」
今度は、ちゃんと聞こえるように大きな声で叫んだ。