Wonderful DaysⅠ
「気を付けて、いってらっしゃい」
首を傾げていると修さんがにっこり笑って送り出してくれる。
───まぁ、いいか・・・
もしかして、この時間でも開いているお店があるのかもしれない。
そう考え直して靴を履き、手を振ってくれている修さんにお辞儀をする。
「いってきます、修さん」
声を掛けて外に出れば、アル兄さんは何処かに電話をしているみたい。
視線で車に乗り込むように促されて車へ向かえば
「おはようございます、マリア様」
声を掛けられて前を向けば、イギリスでウィンザー家の運転手をしている日本人の木田さんだった。
「あ・・おはようございます、木田さん。お久しぶりです!」
まだ数ヶ月前の事なのに、懐かしさを感じながら挨拶をした。
木田さんは50代前半の優しい運転手さん。
小さい頃から、方向音痴の私の為に色々な所へ連れて行ってくれた。
迷子になった時は何時間も探してくれて、私にとって木田さんは命の恩人だったりする。