Wonderful DaysⅠ
私一人で隠れちゃったけど、あの人も一緒に隠れた方がよかったんじゃないだろうか。
見るからにガラの悪い人達は、アッと言う間にあの人を囲んで、今にも集団リンチをしそうなこの状況……
───殺されちゃったら大変だ!
警察に連絡しようにも、携帯を持っていない私には連絡手段が無い。
ここから何とか抜け出して、助けを呼びに行こうか……?
きょろきょろと、この広場を見回してみたけれど
「……………………」
───ダメだ……
出入口は入って来た1ヵ所だけで、そこには見張りが二人も立ってる。
私が隠れている植え込みから、集団を挟んだ向こう側が出口。
綺麗に手入れをされている植木が並んでいて、とてもじゃないけど見つからずに出口に向かうことすら不可能だった。
そんな事を考えている間にも、彼らは何か話をしているみたいで。
少しでも聞こえないかと植え込みに頭を突っ込んだら、カツラのおさげが枝に引っ掛かった。
「げっ!」
くいっとおさげを引っ張ってみれば、枝からは取れたけど髪の毛はボッサボサ。
仕方なく三つ編みをほどいて、もう一度頭を突っ込んだけど……
「んー、遠すぎて何を話してるのか聞こえないや」
「じゃあ、近くに行くか?」
「やめてよ、あんな怖い集団に入っていけるわけないじゃない!」
───ん? 私、誰と話してるの?