Wonderful DaysⅠ
「チッ、油断しただけだ」
口の中が切れたのか、ペッと血を吐き出すと悔しそうに私を睨む。
「止めておけ。お前の敵う相手じゃねぇ」
葵さんの言葉に苛立ったのか赤髪男の眼つきが変わる。
「あぁ?俺が女に負けるとでも言うのかよ!?」
食って掛かる赤髪男。
それを一瞥するとスッと目を細めた葵さんは
「あぁ、お前じゃ勝てねぇよ。」
赤髪男と視線を合わせて断言した。
「なっ!?」
「蓮さんが女なんかに負ける訳ないじゃないっすか!」
赤髪男は葵さんと視線を合わせたままゴクリと息を呑んだ。
その周りの男達が葵さんの言葉に納得出来なくて口々に声を上げる。
きっと、この赤髪男は神威の中でも上の方の人なんだろう。
───騒ぎが大きくなる前に、帰った方がいいかな・・・
葵さんに声を掛けて帰ろうと声を出せば
「───あ」
「お前ら、女だと思って甘く見てたら怪我するぞ?」
私の言葉に被せるように話し始めた。