Wonderful DaysⅠ
取り敢えず、左右を確認したけど誰もいない。
「……空耳?」
「こっち、こっち」
後ろから聞こえてきた声に、恐る恐る視線を向ければ……
こっちを覗き込んでるイケメンがいた。
「何で、そんな所に隠れてるの?」
こてん、と首を傾げて不思議そうに聞いてくるから
「あんな怖い所に入っていく勇気はありません!」
極めて当たり前の事を口にした。
なのに・・・
「君は魁(カイ)の知り合いじゃないの?」
質問しながら近づいて来る。
──カイ?
「カイって、誰ですか?」
初めて聞く名前に、今度は私が首を傾げた。
イケメンさんは顎に手を当てて、考えるような仕草をすると
「君がさっきまで一緒にいた男なんだけど……」
そう言って、集団の中心にいる人物を指差した。