Wonderful DaysⅠ
「マリアちゃん」
「はい」
名前を呼んだその声に、目線を上げれば
「悪いんだけど、田中にコンビニまで案内させるから。ごめんね?」
眉を寄せて申し訳なさそうにしている葵さんと視線が交わる。
「あ、謝らないで下さいっ!道を教えて頂けるだけでも有難いのに道案内まで・・・私の方こそ、ご迷惑ばかり掛けて申し訳ありませんっ!」
本当に迷惑を掛けっぱなしな私。
深くお辞儀をして謝ると
「全然、迷惑じゃないからね?」と、優しく微笑んでくれた。
その様子を見ていた赤髪が
「葵、時間だ。」
少し、イラついた声で葵さんを呼んだ。
それに頷いた葵さんは
「田中、頼んだぞ」
田中さんに視線を向けて声を掛けると、私に手を振って踵を返す。
「は、はいっ!!」
総長から直々に頼まれた田中さんは直立不動で返事をして、葵さん達の後姿を見送ると
「じゃ、コンビニまで案内するから」
私を横目で見て、歩き出した。