Wonderful DaysⅠ
「おはよう」
今の遣り取りを見られていたかと思うと恥ずかしい。
挨拶をするとアル兄さんの視線は私の手元の目覚まし時計に向いていて……
「新しい目覚ましに変えてから、早く起きれるようになったね?」
よかった、よかった。と言う兄さんは、自分が買ってきた目覚ましを満足気に見ていた。
───早く起きれるようにはなったけど、目覚めがすっごく悪いんですけどっ!
大体、こんな目覚ましを何処で見つけてきたのよ?
朝から、イラッとするんですけどね?
「ほら、早く準備をしないと遅刻してしまうよ?」
ジトッとした視線を兄さんに向けていたけど、促されて洗面所に向かう私。
「先に下に行っているからね」
顔を洗い終わった私がタオルで拭いていると、そう言ってトントンと螺旋階段を下りて行く兄さん。