Wonderful DaysⅠ
イケメンさんが指差した方を見れば、カイと呼ばれた人は厳ついスキンヘッドを殴り倒していた。
「ひえっ!」
もうケンカが始まっちゃってる!
そう思っている間にも、次々とカイさんに襲い掛かっていく集団。
「ねぇ君、ほんとに魁の事知らないの?」
目と鼻の先では殴り合いながら怒号まで聞こえるのに、この人の興味は目下、私がカイさんを知っているかどうかって事らしい……
「本当に知りませんっ! さっき、会って少しお話しただけなんです!」
私の言葉を聞くと、目を見開いたイケメンさん。
「──え……君、魁と喋ったの?」
なんだか、ここだけ時間の流れが違っている気がする。
「そんな事より、カイさん助けないと殺されちゃいますっ!」
必死に訴えているのに
「ん? 魁なら大丈夫だよ。ほら」
全く慌てる素振りも見せずに、視線を彼らに向けた。
つられる様に私も覗き込むと、滅茶苦茶な強さで相手を倒しまくっているカイさん。