Wonderful DaysⅠ


「・・・・・」


そんなわけないじゃん!と頭を振ってローファーに履き替える。

校舎を出れば早くも夕日が沈みかけていて、冷たい風が頬を撫でていく。


───さ、寒いっ!


風が触れたところがピリピリする。


「手袋持って来ればよかったな・・・」


今、外に出たばかりなのに寒さで手が痛い。

そういえば、今日は今年一番の寒さだって朝の天気予報で言ってたっけ・・・

コートの襟を寄せて足早に歩きながら、さっきの女の子達の会話を思い出す。


『結城さん』


違う人かもしれないのに、結城さんと聞いて少し緊張している私。


「まだ、居るのかな・・」


何故か正門に近付く度にドキドキと煩くなる心臓。

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