Wonderful DaysⅠ


じわりと嫌な汗が背筋を伝う。

思わず掴まれている手を引こうとした時、男の足がピタリと止まった。

それに気が付いて足元に向けていた視線を上に上げれば・・・

視界の先に映ったのは、白石に回し蹴りを食らわせたあの小高い丘の上の公園だった。


「連れて来たぜ~?」


奥に見えた人影に向かって声を掛けた男は、掴んでいた私の手首を思い切り引いた。


「──・・・っ、」


あまりの痛さに顔を顰める。

この男、力の加減というものを知らないのだろうか・・・

未だに強く掴まれている手首はギリギリと痛むし、指先なんて変色してる。


「離して」


堪らず言えば


「てめぇは離したら逃げるだろうが。」


以前の逃走劇を思い出しているのか、睨み付けてくる。


「用が終われば帰してやるよ。まぁ、帰れればの話だけどな?」


にやりと笑ってそう告げると、私に向けていた視線を奥の人影に向けた───

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