Wonderful DaysⅠ
「葵さん?」
───今、“お待たせ”って言った?
頭に浮かぶ?マークだけど・・・
「マリアちゃん、怪我は無い?」
葵さんの質問に頭の隅に追い遣られる。
「え?は、はい。大丈夫です」
バイクを降りてゆっくりと歩いて来る葵さんは、目の前まで来ると私の顔を覗き込んだ。
───うわっ!
そんなに近付かれると眩しすぎて直視出来ませんっ!
ちょっと仰け反り気味になる体勢がキツイけど、葵さんの後ろを見れば、赤髪男の姿まで見える。
相変わらず、突き刺さりそうな視線を感じるんですけど。
もしかして、肘鉄を食らわせてしまった事を、まだ根に持っているのだろうか・・・
「───葵」
隣で聞こえた低い声に意識を向ければ
「魁~、先に行くなら連絡して行けよな!」
少々、お怒り気味の葵さんが文句を言う。