Wonderful DaysⅠ


「葵さん?」


───今、“お待たせ”って言った?


頭に浮かぶ?マークだけど・・・


「マリアちゃん、怪我は無い?」


葵さんの質問に頭の隅に追い遣られる。


「え?は、はい。大丈夫です」


バイクを降りてゆっくりと歩いて来る葵さんは、目の前まで来ると私の顔を覗き込んだ。


───うわっ!


そんなに近付かれると眩しすぎて直視出来ませんっ!

ちょっと仰け反り気味になる体勢がキツイけど、葵さんの後ろを見れば、赤髪男の姿まで見える。

相変わらず、突き刺さりそうな視線を感じるんですけど。

もしかして、肘鉄を食らわせてしまった事を、まだ根に持っているのだろうか・・・


「───葵」


隣で聞こえた低い声に意識を向ければ


「魁~、先に行くなら連絡して行けよな!」


少々、お怒り気味の葵さんが文句を言う。

< 164 / 757 >

この作品をシェア

pagetop