Wonderful DaysⅠ
───やばっ! カツラがずれてるっ!!
気付かれないように急いで直していれば
「は?」
一瞬の出来事に、何が起こったのかわからなかったのか、座り込んだままで呆然としている白石。
周りを見れば皆、同じような顔をしていて、イケメンさんなんて口が開きっぱなし。
カイさんも目を見開いている……ように見えた。
「何だ、この女っ!」
羽交い絞めから抜けただけなのに、逆切れして女の私に向かってきた白石。
「白石、やめろっ!!」
イケメンさんの声と、遠くにいたカイさんがこっちに走って来る姿を視線で捉えながら、白石が繰り出してきたパンチを避けて回し蹴りを食らわす。
きれいに決まった回し蹴りで、白石は吹っ飛んだまま気を失っていた。
「女に手を上げるなんて、最低な奴!」
白石を一瞥して、パンパンと服についた土をはらっていたら
「───お前……」
いつの間にか近づいていたカイさんが、私を見ていた。