Wonderful DaysⅠ



後から葵さんもついて来るけど、赤髪男の姿が見えない。

上半身を少し反らせ気味に後方を覗けば、レジで会計をしていた赤髪男の姿が目に入った。

赤髪男に私の荷物を持たせた上に、食事代まで払ってもらうなんて絶対に出来ないっ!!

ファミレスの奥の駐車場まで腕を引かれて待っていれば、欠伸をしながら歩いて来る赤髪男。


「あの、荷物を持って頂いてすみませんでした!あと、食事のお金っ!!」


目の前に来た赤髪男に慌ててお財布を出そうとすれば


「あ? 俺、金なんて払ってねぇし。ほらよ、魁」


魁さんに紙袋を手渡す赤髪男。


「え? でも……」


確かに、レジでお金を払っていたよね?
だって、お金を払わないで出てきちゃったら……


無銭飲食で捕まっちゃうじゃないかっ!!


払っていないなら、払いに行かなくちゃ!と、お店に戻ろうとする足を止めたのは


「マリアちゃん」


優しい笑みに戻った葵さんだった。

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