Wonderful DaysⅠ


「くっくっ……止めておけ、蓮。またヤられるぞ?」


赤髪男の肩にポンと手を乗せて、悪戯な笑みを見せる葵さんは未だに笑いが止まらない。


「そもそも俺達、ちゃんと自己紹介してないでしょ」


葵さんの指摘に、確かに名前しか聞いていない事に気が付く。


「何で、俺がコイツに自己紹介してやらなきゃなんねぇんだよ?」


人を指差して嫌そうな顔をする失礼な赤髪男に


「じゃあ、いつまで経っても蓮は『赤髪男』のままだね」


クスクスと笑いながら言う葵さん。
それにピクリと反応した赤髪男は舌打ちをした後


「……滝沢 蓮(たきざわ れん)」


ぽつりと自分のフルネームを言いながら、眉間に皺を寄せた。

それに続くように葵さんが微笑むと


「俺は御堂 葵(みどう あおい)で、彼が結城 魁(ゆうき かい)だよ。
改めてよろしくね!」


口数少ない魁さんの紹介までしてくれた葵さんは、王子様の微笑を向けてくる。

ま、眩し過ぎる……


「はいっ!周防マリアです。こちらこそ、ご迷惑掛けっ放しで申し訳ありませんが、よろしくお願いしますっ!!」


深々とお辞儀をして挨拶をした。
これで、魁さん以外の人のフルネームを初めて知った私だった。

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