Wonderful DaysⅠ
「じゃ、自己紹介もした事だし、取り敢えず行こう。此処に居ても仕方ないしね?」
葵さんに促されて頷いちゃったけど……
行くって、何処へ?
魁さんは、何も言わずに私をバイクの後ろに乗せると、自分も跨ってエンジンをかけた。
「───行くぞ」
ゆっくりと駐車場から出ると、行き先も知らされないまま夜のネオン街へと走り出す。
「あれ?」
あまりスピードが出ていないような……
いつもなら、景色を見る余裕もないまま目的地に着いてしまうのに。
ちらりと後ろを確認すれば葵さん達も、ゆっくりと走っていて、いつもと違う。
魁さんの背中から少し視線をずらして前方を見るけど、特に混んでいる訳でもなく……