Wonderful DaysⅠ


───凄い……


初めて見た。

走るバイクから見える景色って、こんなに綺麗なんだ。

車の窓から覗く景色とは全く違う。
流れる光の洪水と一緒に風になる───

興奮して思わず、魁さんの腰に回していた手に力が入る。


「いっ───!!」


痛い!痛い!痛い!

手首が今頃、痛くなってきた。
痛めていた方の手の力をフッと抜くと、それに気付いた魁さんが視線を後ろに流してくる。


───いやいやいや、危ないからっ!


「まっ、前向いて下さいっ!!」


慌てて叫ぶ私を一瞥した魁さんは、前に向き直ると大通りから細い道へ進路を変える。

本当に何処まで行くんだろう?

暫く道形に進んだ後、ぽつんと建っているコンビニの駐車場に入って行く魁さんは、此処で何か買い物でもするのかな?

後ろから駐車場に入って来る葵さん達も、困惑気味だったから、目的地は此処ではないと思うんだけど……

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