Wonderful DaysⅠ


駐車場の端の方にバイクを止めて、エンジンを切ると


「少し待ってろ」


そう言って、コンビニの中に入ってしまった魁さん。

同じくエンジンを止めた葵さん達はバイクを降りて、傍まで来ると


「何だ? 魁のヤツもう、腹減ったのか?」


赤髪男こと、蓮さんがコンビニの中を見ながら煙草に火を点けた。

それは無いでしょ。
だって、今食べてお店を出て来たばかりだよ?

それよりも……
ご飯で思い出した!


「葵さん。あの、食事代なんですけど……」


「ん?」


「私の食事代払いますっ!」


せめて自分の分だけでも払いたいんだけど、一体、誰に払ったらいいのかわからない。
蓮さんは払っていないって言うし、魁さんと葵さんはレジにすら立ち止まっていない。


「ん───。断られると思うけど……お金を払ったのは魁だよ」


「え?」


葵さんの言葉に疑問が浮かぶ。

だって、魁さんは……


「あの…いつ払ったんでしょうか?」


マジシャンじゃあるまいし、お金を払った時間なんて無かったよ?

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