Wonderful DaysⅠ


───リ、リアルに怖い……


「いえ、これは白皇の男に掴まれて……」


違うって伝えたのに


「あの女にも同じ所を掴まれただろ」


ご丁寧に補足してくれた魁さんは、ビニール袋から取り出した湿布を手首に張ってくれる。


「湿布?」


「放って置くと、長引くぞ」


魁さんの言葉にピクリと反応した葵さんは「ふーん…そうなんだ」と呟くと、何故かスマホを取り出して操作をし始めた。

ものの数秒で操作を終えたスマホを胸のポケットにしまった葵さんは、魁さんに視線を向ける。


「魁、そろそろ……」


それに頷いた魁さんは、再び私をバイクに乗せてエンジンをかけた。

バイクに乗って近付いて来た葵さんは私の顔を覗き込むと


「もう少し、走るからね?ゆっくり行くから怖くないよ。」


そう言って、にこりと微笑んだ。


───あれ?総長様から、王子様に戻ってる……

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