Wonderful DaysⅠ
扉を押さえてくれている蓮さんの横を通り過ぎて中に入れば、そこは倉庫のようで何も無い。
バタンと、扉が閉まる音が広い空間に響いた。
───ガチャ───
その後に聞こえたその音に振り向くと、鍵を閉めた蓮さんが無表情でこっちに歩いてくるのが見えた。
私の1m程前で立ち止まった蓮さんは、何も言わずに鋭い視線を向けてくる。
さっきから、蓮さんが何を言いたいのか全くわからない私は、ただ黙って蓮さんが口を開くのを待った。
「おい、クソ女!」
きちんと自己紹介したのに、一向に『クソ女』呼ばわりをする失礼な蓮さん。
「……はい」
返事をした声が不貞腐れていたのは、ちょっとした反抗。
「てめぇ、ほんとに何者だ?」
蓮さんの質問が益々わからない。