Wonderful DaysⅠ
でも、私に関するデータの事を言われても一切わからない。
「すみません。私、全然わからないんですけど……」
「じゃあ、直接聞く」
そう言うと、蓮さんはズボンのポケットからスマホを取り出した。
何を聞かれるのか身構えていれば
「高校は、さっき制服見たからわかる。家は何処だ?」
───ん? 家?
「家なら、魁さんが知っていますけど……」
とっくに知っていると思っていた事を聞かれて、拍子抜けの私とは反対に蓮さんは顔を引き攣らせていた。
蓮さんの反応を見る限り、知らされていなかったんだろう……
「ちょっと待ってろ、クソ女!」
怒っているのか、低い声で言うと私を置き去りにして部屋から出て行ってしまった。
ポツンと、一人取り残された私。
───お願いだから、私を置いて行かないで下さい!
心の声は蓮さんには届かない……