Wonderful DaysⅠ
なるほど……。
どっちにしても、道がわからない私にとって此処に放置されるよりはありがたい。
「よ、よろしくお願いします!」
イケメンさんに荷物を渡すと、バイクのシートの下から取り出したロープで器用に括りつけてくれた。
「……………………」
───ところでバイクって、どうやって乗るの?
よろしくお願いします! とは言ったけど……
バイクに乗った事がない私には、このドでかいバイクのどこに足を掛けていいのかすらわからない。
バイクの前で呆然と立ち尽くす私を、訝しげな顔で見ていたカイさん。
「───乗れねぇのか?」
バイクに跨って、肩越しに睨まれた。
───ひっ! 怖っ!
「すっ、すみませんっ! バイクに乗った事がないんですっ」
涙目になりながら訴えると、呆れたように溜め息をついてバイクを降りたカイさんは、私の両脇を抱えて持ち上げる。