Wonderful DaysⅠ
眉間に僅かに皺を寄せ、言葉を続ける葵。
「今では街中で騒ぎになっていて、マリアちゃんを特定しようとしている奴等もいるんだ。
既に学校は特定されてしまってる。マリアちゃんに危害が及ぶ前に、彼女とは距離を置いた方がいい」
話を聞き終えた魁は、小さく溜め息を吐く。
「今更だろ。既に学校が特定されているなら、今から距離を置いても手遅れだ」
魁の言葉を聞いた二人の表情が険しくなる。
暗に、“これからもマリアと距離を置かない”と言っているように聞こえたから。
先に口を開いたのは蓮だった。
「おい、魁。お前、何考えてるんだ?
あのクソ女と、これ以上噂になったら困るのは魁なんだぞ!?」
語気を荒げる蓮を右手で制して、魁と視線を合わせる葵。
「魁。軽率な行動はとらない方がいい。
もうすぐ、彼女こっちに来るんだろ?」
「もう、来てる……」
「「は?」」
魁の返事に二人の声が被る。
「お前の婚約者もう来てるのか!?」