Wonderful DaysⅠ
───午前9時───
「なぁ?」
三人掛けソファーの肘掛に足を組んで寝転んでいる蓮が、隣の一人掛けソファーに座っている葵と、その後ろから缶コーヒーを持って歩いて来る魁に声をかける。
「どうした?」
雑誌を見ていた葵は、蓮に視線を移す。
「あのクソ女、いつになったら起きるんだ?」
葵に向けていた視線を、その後ろの総長室へと流すと、魁と葵も扉へと目を向ける。
「…………」
「…………」
「もう、9時だぞ? 俺、腹減ったんだけど!」
不満を口にする蓮に葵が苦笑いを浮かべる。
「だけど、女の子が寝ている部屋に勝手に入れないだろ?」
「じゃあ、起きるまで、ずっと待ってるのかよ!?」
「…………」
蓮の指摘に言葉を詰まらせる葵は、困ったように隣の魁を仰ぎ見る。
それに気が付いた魁は、小さく息を吐くと缶コーヒーをテーブルの上に置いて、総長室の扉へと足を向けた。