Wonderful DaysⅠ
無愛想だけど、シートには驚くほど優しく乗せてくれたカイさん。
「しっかり掴まってろ」
「えっと、掴まる所が見当たらないんですけど……」
「「……………………」」
何故か無言で私を凝視するカイさんと、さっきから目を見開きっぱなしのイケメンさん。
───私、また変な事言ったの?
私の言葉が変だったのか、フッと笑ったように見えたカイさんは、私の両手首を持って自分の腰に抱きつかせると
「──しっかり掴まってろよ?」
そう言って、バイクのエンジンをかけると「ヴォン」って音と共に、静かな住宅街を滑る様に走り出した────