Wonderful DaysⅠ
「おい、魁!?」
珍しく葵の慌てた声が聞こえたが、それを無視して総長室の扉をコンコンと軽くノックする魁。
しかし、部屋の中からは物音が一切聞こえず、今度は少し強めにドンドンと叩くが、それでも物音は聞こえてこない。
「───マリア?」
魁が名前を呼ぶが、やはり反応が無い。
「…………」
かなり強く叩いた扉の音にも反応を示さないマリア。
「魁?」
後ろの二人も様子を伺う魁に声を掛ければ
「マリア、開けるぞ?」
総長室のドアノブに手を掛けて押し開いた魁。
キィッと音を立てて開いた扉の先には、ベッドの上でシーツに包まるマリアの姿があった。