Wonderful DaysⅠ


初対面の男の子に“お前”呼ばわりされて会場を出てきてしまったけど……

私、アル兄さんに「此処で待ってて」って言われたのに出て来ちゃった。


「あのっ!」


「…………」


声を掛けたのに、男の子は無言でパーティー会場の裏にある広い庭園まで私を連れて来た。

庭の中央には大きな噴水があって、そこからはボーダー花壇越しに洋館の美しい眺めが楽しめる。

周りには、数人の人達が庭の散歩を楽しんでいた。


「此処まで来れば大丈夫だろ。」


そう言って掴んでいた右手を離すと、ジッと私の顔を見ている男の子。


「お前、日本語話せるのか?」


不思議そうに尋ねてくるから、頷くと「ふぅん」と返ってきた声。


「外人なのに凄いな、お前。」


男の子は素直に褒めてくれているんだろうけど、6年生になるまでは日本に住んでいたんだから、日本語が話せて当たり前。

外見は、まんま外人だけど中身は殆ど日本人の私は


「私、外人じゃないっ!!!」


男の子に向かって叫んでいた。


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