Wonderful DaysⅠ


「日本に帰りたい……」


思わず、口から零れた嗚咽交じりの声。

ずっと、心の中に閉じ込めていた想いが溢れ出す。

私の事を心配して、ずっと傍に居てくれる兄さん達には言えなかったけど、イギリスに私の居場所は無かった。

初対面の男の子にだから言えたのかもしれない……

男の子にしたら、ただの迷惑な女なのに


「日本に帰りたいのか?」


私の話を、ちゃんと聞いてくれる。


「うん」


「なら、帰ればいい。」


帰りたいけど、帰れないから言っているのに。


「もう、日本に私が帰る場所なんてないもん。お父さんも、お母さんも死んじゃって兄さん達とイギリスに居るしかないの……」


自分で言った言葉が現実なんだと思い知ると、心臓が締め付けられる。

溢れ出す涙を拭う事もせず、足元に零れ落ちていくそれを目で追っていれば


「なら、俺が日本に連れて行ってやる。」


男の子の口から発せられた言葉に、初めて彼と視線を合わせた───


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