Wonderful DaysⅠ


「え?」


聞き間違いだと思ったのに


「俺が、お前を日本に連れて行ってやる。」


もう一度言われた言葉は、はっきりと耳に届いた。

その瞳は冗談を言っているようには見えなかったけど……そんな事、子供には無理に決まっているから


「無理だよ……」


口から漏れたのは否定的な言葉。

なのに、男の子の口から発せられたのは


「無理じゃねぇよ。最初から否定してたら出来る事も出来なくなるぞ。」


自信たっぷりの言葉で。


「日本で、他に当てがなければ俺の家に来ればいい。兄貴達にはホームステイとでも、留学したいとでも言えるだろ?」


子供の言う事だったけれど。
その言葉に、私の心はどれだけ救われただろうか……

今迄、日本に帰るのなんて絶対に無理だと思っていたけど、無理ではないんだ。


「方法なら、いくらでもある。」


男の子の口から次々と出てくる言葉は、私に希望をくれた。


「うん。ありがとう……」


うまく笑えていたかはわからないけど、久しぶりに自然と笑顔になっていた。


「……あぁ」


男の子も笑顔で答えてくれる。


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