Wonderful DaysⅠ
MARIA
───ひーっ! 早いよ、怖いよーっ!! カツラが飛ぶ────っ!!!
私は初めて体験するバイクに、叫びそうになるのを何とか堪えていた。
カイさんにしがみついて体重掛けたら睨まれそうだから、下半身に力を入れて踏ん張っていたんだけれど……
それもそろそろ限界。
太腿と脹脛が、さっきからプルプル震えてる。
もうダメだ……と思った時、バイクがスピードを緩めてコンビニの広い駐車場に入って行った。
カイさんがバイクのエンジンを切ると、後からイケメンさんのバイクが入って来て隣に並ぶ。
土地勘のない私は、ここがどこら辺なのかもわからないけど、取り敢えず人通りの多い所に着いたらしい。
「ここら辺まで来れば、もう大丈夫かな」
相当走ったから、あの暴走族に見つかる事はないと思うけど……
「あのー……此処は一体、どこなんでしょうか?」
方向音痴の私は、連れ回されて益々自分の現在地がわからなくなっていた。
「君、地元の人じゃないの?」
「はい。今日、こっちに来たばかりなんです。さっきもあそこで迷子になってて……」
「え……迷子?」
イケメンさんは本日、何度目かの引き攣り顔。
カイさんは呆れているのか、溜め息をついて額を手で押さえていた。