Wonderful DaysⅠ
呻き声?
そう言えば、投げた感触が時計じゃなかったような……
…………
「ぶっ!」
「───ってぇ……」
「くっくっ…大丈夫か~? 蓮」
「笑ってんじゃねぇよ、葵!」
耳に届いてくる会話と物音に、一気に覚醒し始めた意識。
さっきまで、鉛のように重かった瞼が嘘のように軽くなった。
パチッと開いたと同時に飛び起きて周りの状況を確認すると
「クソ女っ! てめぇ、誰が目覚ましだぁ!?」
後頭部をさすりながら凄んでくる蓮さんが見えた。
朝から不機嫌な蓮さんに睨まれるって、最悪な目覚めだけど……
どうやら私が目覚まし時計と思ってぶん投げたのは、蓮さん自身だったらしい……
という結論に辿り着いた途端に、一気にサーッと血の気が引いていく。
「す、すみませんっ!!」
力いっぱい謝ってみたけれど、蓮さんの怒りがおさまる筈もなく……