Wonderful DaysⅠ
「いい度胸してんじゃねぇか。」
指をバキバキ鳴らしながら近付いて来る蓮さんは、やる気満々で蟀谷(こめかみ)には血管が浮き出ていた。
───これは、相当、怒っていらっしゃる……
自分の寝起きの悪さで、先に手を出しちゃっているから、反抗は出来ないけど……
───顔を殴るのだけは勘弁して下さいっ!
「この、クソおん…な……?」
再び、私の胸倉を掴んで怒鳴ろうとした声は、何故か尻窄みになっていく。
蓮さんの雷が落ちると思っていた私。
恐る恐る様子を伺えば……
そこには、目と口を最大限に見開いて、私の顔を凝視している蓮さんがいた。
───何? 私の顔に何かついてるの?
蓮さんの目線からいって涎じゃなさそう……
私とバッチリ視線が合っているから、考えられるとすれば……まさか、目ヤニとかっ!?
固まっている蓮さんから、そっと視線を外して斜めに動かせば……
そこでも固まって、こっちを見ている魁さんと葵さんが視界に映った。