Wonderful DaysⅠ
───ひーっ! もう無理───っ!!!
どれだけ走ったのか分からないほど下半身に集中していた私は、緩んだスピードでやっと目的地近くに来れた事を悟った。
キッと、バイクを止めたカイさんと葵さん。
「此処か……?」
訝しげな顔をしたカイさんは、葵さんに視線を向けた。
「うん。此処で間違いないはずだよ」
葵さんも、困惑した表情で私を見る。
私も、此処が目的地だと言われても信じられないんですけど。
「お前、本当に此処でいいのか……?」
カイさんが確認するように聞いてくるけれど
「私も驚いています……」
目の前に聳え立つ建物を見上げて顔が引き攣った。
白亜のお城のような建物は豪華そのもの。
入り口にはキンキラキンの獅子の置物が置いてあって、口からはちょろちょろと水が流れ出てた。