Wonderful DaysⅠ



「なら、質問を変えるわ。マリアが好きになった人って、どんな人なの?」


到底、逃げ切れないと思った私は譲歩してくれた質問に口を開く。


「眉目秀麗で口数は少ないけど、とても優しい人だよ」


これだったら誰だかわからない筈。

そう思って、安心していれば


「私も知ってる人?」


まだ、突っ込んで聞いてこようとする綾ちゃんの予想外の言葉に動揺してしまった私。

『神威』の魁さんの事は、きっと知らない人の方が少ないだろうけど、この間、食堂で話していた内容から綾ちゃんも魁さんを知っている。


「ど、どうかな~?」


うまく誤魔化すつもりがどもってしまった私に、目を光らせた綾ちゃんの言葉は


「私の知ってる人なのね。」


最早、疑問系じゃなかった。


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