Wonderful DaysⅠ
でも、カイさんも葵さんも私も、それ自体に困惑しているのではなくて。
皆が向ける視線の先には、デカイ字で【MARIA】と書かれた看板と、入り口に並んでいた男の人達。
皆、ド派手なスーツを着て整列している。
そう。ここはホストクラブだった。
───兄さん? あなたは、私を何処に連れて行くつもりだったんですかっ!!!
なんとも言えない雰囲気が辺りを包んでいたけれど
「取り敢えず、此処で何か分かるかもしれないので聞いてきます」
カイさんに話し掛ければ了承したのか、私の両脇を掴んでバイクから降ろしてくれた。
さっきまで必死に力を入れていた太腿と脹脛が、微妙に痛いんですけど。
明日は筋肉痛になりそうだ……
カイさんと葵さんにお礼を言って建物に向かうけど、近付いて行くほど足取りは重くなる。
ただでさえ、自分から話し掛けるのは苦手なのに、ホストの人になんて話し掛けられるだろうか?