Wonderful DaysⅠ
何だか、最近の私は手首を掴まれる事が多いような気がするのは気のせいじゃない筈。
前を行く暁さんに視線を向ければ、歩く度に彼女の髪の毛がふわりふわりと揺れていて、いい香りが鼻を擽る。
その暁さんに腕を引かれたまま連れて来られたのは、屋上だった。
「此処なら誰も居ないか」
屋上の扉が閉まったと同時に言葉を発した彼女に視線を向ければ、振り返って私を見ていた。
「あの…話って……?」
恐る恐る尋ねれば
「急にごめんね。話を聞いたら、どうしてもマリアちゃんと話がしたくなっちゃって」
「うふっ」って微笑む暁さん。
今の彼女の言葉に聞きたい事だらけ。
“何で、初対面の私と話がしたいの?”
“聞いたって誰に?”
聞こうと思ったけれどやめた。
だって、そんな事は考えたら直ぐに答えが出てきたから。
私の事は、きっと魁さんから聞いたんだろうし。
何で、私と話がしたいのかはわからないけど。
もしかしたら、魁さんにこれ以上近付くなと言いたいのかもしれない……