Wonderful DaysⅠ
◇
(side:綾)
マリアを残して食堂を出た私は、スマホを片手に人気の無い所まで歩く。
転校生の暁さんが結城の婚約者だなんて、信じられない。
私が聞いていた結城の婚約者は……
『…何だ』
そこまで考えていたら、電話口から聞こえてきた不機嫌そうな声に思考を切り替えた。
「ちょっと、聞きたい事があるの」
『聞きたい事?』
「そう。結城の婚約者の事なんだけど。」
『…………』
結城の婚約者って言っただけで、突然無言になる、この男。
「ちょっと、聞いてるの!?」
私を無視するなんて、いい度胸してるじゃないの。