Wonderful DaysⅠ






(side:綾)

マリアを残して食堂を出た私は、スマホを片手に人気の無い所まで歩く。

転校生の暁さんが結城の婚約者だなんて、信じられない。

私が聞いていた結城の婚約者は……


『…何だ』


そこまで考えていたら、電話口から聞こえてきた不機嫌そうな声に思考を切り替えた。


「ちょっと、聞きたい事があるの」


『聞きたい事?』


「そう。結城の婚約者の事なんだけど。」


『…………』


結城の婚約者って言っただけで、突然無言になる、この男。


「ちょっと、聞いてるの!?」


私を無視するなんて、いい度胸してるじゃないの。


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