Wonderful DaysⅠ


人と馴れ馴れしくするのが嫌いで、ずっと一人で行動していた私だけど、マリアだけは危なっかしくて、放っておく事が出来なかった。

転校してきた当初は、牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡をかけてビクビクしていたマリア。


信じられないほど方向音痴で、校舎の中で迷子になるなんて最初はふざけているのかと思った。

実際は本気で迷子になってて、初めて声を掛けた時は青褪めていたマリアはまるで捨てられた子犬に見えて……

益々、気になった私は、マリアに何度も話し掛けて、やっと普通に話せるようになったのは転校してきてから2ヶ月も経った頃。

親友というよりはマリアの母親のような感情に近いかもしれない。

最近では、眼鏡を変えて少し雰囲気が変わったと思う。

地味に見えるけど、顔のパーツは整っているんだから、ちゃんと化粧でもすれば華やかに見えると思うんだけど……
化粧っ気が全く無いのも、女子高生としてどうなの?

そんな事を考えながら食堂に足を踏み入れれば、さっきまで座っていた席にマリアの姿は無かった。


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