Wonderful DaysⅠ


───放課後───


あれから暁さんが話しかけてくる事も無く、帰る支度をしているのだけど……


「綾ちゃん? 顔が怖いよ」


何故かスマホを睨み付けて舌打ちをする綾ちゃん。


「あら、顔に出てた?
連絡待ちなんだけど、遅いったらありゃしない。」


連絡がなかなか来ない相手に怒っているらしい綾ちゃんは、いつにも増して迫力がある。


「綾ちゃん。今日、部活は?」


いつもなら、とっくに部室に向かっている筈の時間なのに、今日は一向に動こうとしない。


「今日は、ミーティングで終わりなのよ」


「そうなんだ」


「マリアこそ、早く帰らなくていいの?
今日は、お兄さんと会うんでしょ?」


「うん」


そう。今朝、いきなり電話がかかってきて、急遽、仕事で日本に来ているアル兄さんと外でご飯を食べる事になっているのだ。


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