Wonderful DaysⅠ


「今度、お兄さんの写真でいいから見せてよ。マリアのお兄さんって見てみたいわ」


「あ、うん……」


兄さん達の写真を綾ちゃんに見せたら、どんな反応をするかな……

なんて考えていたら、綾ちゃんのポケットから聞こえてきた着信音。


「やっと、かかってきた」


そう言ってスマホを取り出して、画面を確認する綾ちゃん。


「じゃあ、帰るね」


綾ちゃんに手を振って鞄を掴むと、綾ちゃんもスマホを耳に当てて手を振り返してくれた。


そのまま教室を出れば、下校時刻のピークは過ぎているからか廊下を歩いている生徒は疎らで。

下駄箱でローファーに履き替えていると、昇降口から入り込んだ風が剥き出しになっている素足を撫でるように通り過ぎて行った───

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