Wonderful DaysⅠ
「……寒っ!!!」
校舎から一歩足を踏み出せば、冷たい風がヒュルヒュルと音を立てて、木の葉を連れて吹き抜ける。
今日は、コートを着てても体が震えるくらい寒い。
「アル兄さんとの食事って、何時からだっけ?」
基本的に兄さん達と外で食事をする時は、ドレスコードのあるお店に行くから支度に時間が掛かる。
今は夕方の4時だから、急いで帰って支度しないと迎えが来てしまう。
「急がなきゃ……」
少し駆け足で校庭の横を抜けて、正門を潜れば
「マリアちゃん?」
誰かに名前を呼ばれて足を止めた。
「はい?」
返事をしながら、声のした方に視線を向ければ
「やっと、マリアちゃんに会えた」
手を振って、知らない男の人が近付いて来た。