Wonderful DaysⅠ
「そう言えば、此処までどうやって来たの?」
頭の中で兄さんに文句を言っていれば、修さんの言葉でハッとする。
修さんがホストだという事実に驚いて、すっかりカイさん達の存在を忘れていた私。
「迷子になって、親切な人達に送ってもらったんです」
慌てて後ろを振り返れば、バイクに跨ってこっちの様子を見ていたカイさんと葵さん。
「やっぱり、迷子になってたんだね……」
苦笑いをする修さんに、兄さんに渡された「あの地図」を広げて見せた。
「アル兄さんに渡された地図じゃ、誰も此処まで来れませんっ!!!」
地図を見た修さんは
「相変わらず大雑把だね、アル君は。
でも、マークは空港の入り口にリムジンを用意してあったって言ってたよ?」
「──は?」
空港にリムジンが待機してたなんて、初耳なんですけど?
「あれ……聞いてなかったの?」
聞くどころか、空港でいきなりこの地図を渡されて、飛行機に飛び乗ったんだよ、私は。
「じゃあ、心細かったね」
修さんにぎゅむっと抱き締められると、ほのかにスパイシーな香水の香りが鼻を刺激して、くしゃみが出そうになった。