Wonderful DaysⅠ


───ぎゃっ!


「カツラが取れちゃうっ!」


「カツラ? 染めたんじゃなくてカツラ被ってたの?」


不思議そうに、カツラの髪を摘んだ修さん。


「別に変装しなくてもよかったんじゃない?」


「人事だと思って……」


私が自分の容姿の事で、どれだけ嫌な思いをしていたか知ってるくせに!

ムッとして言い返せば


「まぁ、この格好も可愛いけどね」


再び、ぎゅっと抱き締めてくる。


───だから、カツラがズレるってばっ!!


「あ、彼らにお礼を言わなきゃね」


───しまった! カイさんと葵さんを待たせたままだった!


修さんの腕からするりと抜け出して、二人が待つ道路の向こう側へ駆け出した。

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