Wonderful DaysⅠ



そう言って取り出したスマホで、何処かに電話をかけ始めた男の人は


「もしもし、アル君? 俺、俺~。オレオレ詐欺~」


自分で言った言葉にウケて、ゲラゲラ笑っている。


───何なの? この人……


「あぁ、はいはい。わかってるよ~。今、替わるから。マリアちゃん、君のお兄さんだよ」


一頻り笑った後に、電話の相手に促されたのかスマホを差し出してきた男の人から、それを受け取って耳に当てる。


「……もしもし?」


『あ、マリア?』


半信半疑で替わったんだけど、電話に出たのは間違い無くアル兄さんだった。


「アル兄さん、この電話の持ち主さんと友達なの?」


真っ先に疑問を口にすれば


『友達? まぁ、友達と言えば友達かな……悪友とも言うけどね。
今日の夜、食事するホテルまでマリアを連れて来るように慧に頼んだから、一緒に車に乗っておいで』


< 316 / 757 >

この作品をシェア

pagetop