Wonderful DaysⅠ
そう言って取り出したスマホで、何処かに電話をかけ始めた男の人は
「もしもし、アル君? 俺、俺~。オレオレ詐欺~」
自分で言った言葉にウケて、ゲラゲラ笑っている。
───何なの? この人……
「あぁ、はいはい。わかってるよ~。今、替わるから。マリアちゃん、君のお兄さんだよ」
一頻り笑った後に、電話の相手に促されたのかスマホを差し出してきた男の人から、それを受け取って耳に当てる。
「……もしもし?」
『あ、マリア?』
半信半疑で替わったんだけど、電話に出たのは間違い無くアル兄さんだった。
「アル兄さん、この電話の持ち主さんと友達なの?」
真っ先に疑問を口にすれば
『友達? まぁ、友達と言えば友達かな……悪友とも言うけどね。
今日の夜、食事するホテルまでマリアを連れて来るように慧に頼んだから、一緒に車に乗っておいで』