Wonderful DaysⅠ
『全く。あれ?じゃないだろ。先に連絡をしておこうと思って電話をしたのに繋がらないし。
慧にマリアの事は話しておいたけど、あいつなら違う子に声を掛けかねないからね。間違わなくて良かったよ』
「…………」
慧さんが、私の事を過大に想像していた理由がわかった。
アル兄さんのせいだ……
二人の兄さん達は、自分の妹の事を大袈裟に紹介する癖がある。
きっと今回も同じように説明したに違いない。
『マリア?』
無言になった私に、声を掛けるアル兄さん。
「あ、ごめんなさい……」
『取り敢えず、スマホの電源は入れておくんだよ?』
「は~い」
小さい子に言い聞かせるように優しく言うアル兄さんに返事をすれば
『服とかの準備は慧に任せてあるから、可愛く変身しておいで。楽しみに待ってるよ』
「うん、じゃあ後でね」