Wonderful DaysⅠ



慣れないお化粧をするのに少し時間は掛かると思うけど、それでも車で移動だから慌てなくても……

なんて事を考えていれば、いつのまにか数メートル先に移動していた慧さんがこっちを見て手招きしていた。


───いつの間に!?


慌てて、慧さんに駆け寄って後について行く。

急かされて向かった先は、真っ赤なフェラーリの前。


「さぁ、どうぞ? お姫様」


───お、お姫様っ!?


歯が浮くようなセリフを口にして、助手席のドアを開けてくれる。


「あ、ありがとうございます……」


それに苦笑いを浮かべて、そそくさと真っ赤な高級車に乗り込んだ。

流石、アル兄さんの友達だ。

歯が浮くようなセリフを、恥ずかしげもなく言えるなんて。

普通の人に言われてもドン引きモノだけど、ちょっとチャラいホストに見える慧さんに言われると、こっちが恥ずかしくなっちゃう。


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