Wonderful DaysⅠ


───私に聞けるのかな……


今までだって魁さんの隣に居るだけで緊張して地に足が着かない状態だったのに、意識してしまっている今、果たして連絡先を聞くという思考が働くかどうか。


───が、頑張ろう!


って思ったけど、魁さんには婚約者の暁さんがいるんだった。


───連絡先なんて聞けるわけないか……


「じゃあ、頼むよ」


「はい、お任せ下さいませ。では、お嬢様はこちらへどうぞ」


私が魁さんの事を考えている間に慧さんと店長さんの話は終わっていたらしく、私の背中に手を添えて先を促す店長さん。


「え? あのっ……!」


話を聞いていなかった私は、此処で服だけ受け取るものとばかり思っていたからちょっと戸惑ってしまったんだけど


「ほら、早く行かないと。お兄さんと食事の時間に間に合わなくなっちゃうよ?」


慧さんの言葉に促されて、店長さんが開けてくれた奥の部屋へと足を踏み入れた───



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