Wonderful DaysⅠ

結城兄弟




部屋に足を踏み入れれば、目に入ってきた豪華なシャンデリアのキラキラとした光に、思わず目を細めた。

そこから視線を下げて部屋の中央に置かれていた黒い革張りのソファーへ目を向けると、こちらに背を向けて座っている人が目に入る。


「結城様。お待たせいたしました」


私の斜め前で、慧さんに声を掛けた店長さん。

その声に反応して、手にしていたコーヒーをテーブルに置いた慧さんは


「は~い。お姫様は、どんな変身をしたのか……な…」


振り返って私を見ると、目を見開いて動きを止めた。


「…………」


何故に無言?

私の大変身振りに言葉を失ってしまったらしい慧さんは、口をあんぐりと開いたまま。


「あの…慧さん…?」


場の空気に耐えられず声を掛ければ


「マリアちゃん……なんだよね?」


信じられないといった表情の慧さんが、やっと言葉を発した。


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